「おい、お前大丈夫か!?」
みんなが、次々にユーミンに寄ってきた。
「……これが大丈夫に見えるか?」
彼女は少し顔をしかめ、言った。
所々自分で止血しているところもあるが、まだ出血してるところがほとんどだった。
「で、どうやったらこうなるんだ?」
ローリーが聞く。
他の人も、聞きたそうな顔をしている。
「奇妙な鳥がいてな、そいつの攻撃を一発食らっただけでこの様だ。それよりサム、この傷を隠してくれないか?」
「言われなくてもそのつもりだ」
サムが目を閉じ、呪文を唱えた。
「……ハイド・ハート(傷隠し)」
すると、ユーミンの傷がみるみるうちに消えていった。
「あれ、治った……」
彼らの正体をまだ知らないジャックは、不思議な目でその様子を見ていた。
「治ってはいない、隠しただけだ。魔法を解けば元に戻る」
「魔法!?」
「あ……」
自らの能力を、うっかり一般人に晒してしまった。
サムにとっては、思わぬ失態である。
「えっと、実を言えば、俺達は魔法使いなんだ」
リッキーが慌てて説明した。
「今回ここに来たのも、魔法が使えるからこそ。じゃないと、ここに来てしまった人を救えないからな」
ローリーが付け足した。
「そうだったんだ。じゃあ、さっきの炎も魔法なのか?」
「…………」
リッキー、ローリー、サムは顔を見合わせた。
そして、ユーミンを見る。
「説明……してくれってやつか?」
3人はうなずく。
「しょうがねえな。話せば長くなるから、砂浜にでも移動しようか」
「賛成だ。ここは暗くて気味が悪い」
サムが言うと、一行は砂浜に向かって歩き出した。
◆
「さっき使った魔法は、『属性魔法』っていう、古くからある魔法なんだ」
ユーミンが説明する。
「へえ、そんな魔法があったんだ」
ローリーが言う。
「19~20世紀にかけて衰退してしまったけど、最近復活させようという話を聞いたんだ。興味があったから、それに協力してるんだ」
「なるほど。で、その『属性魔法』について、詳しく説明してくれないか」
リッキーが説明を促した。
「『属性魔法』というのは、その名の通り、自らが生まれた時から持っている素質を、7つの属性に分類したものなんだ。7つの属性は、炎、水、光、闇、森、土、時。ちなみに僕は、今見た通り、炎属性だ」
彼女は一旦、言葉を切る。
「基本的に一人が持つ属性は1つだが、例外が存在する。それは、時属性。この属性は、すべてにおいて特別なんだ」
「特別?何だそれは」
サムが問う。
「その1、時属性は常に1人。この属性を持つ者が死ぬと、すぐに別の者がこれを受け継ぐ」
「何か代々続いてるって感じだな」
「いいところに着目したな、えっと……」
「ジャックだ。よろしく」
「こちらこそ。で、その2。さっきジャックが言ってくれた通り、時属性は代々受け継がれている。彼らの名前を、すべて書いている本もあるほどだ。でも、その本にはこんなことも書かれている」
彼女は立ち止まり、目を閉じた。
「『13人目の時属性保持者がこの世を去る時、魔法界は消滅する』。つまり魔法使いはみなあの世行きだ。しかも、」
「しかも?」
4人が一斉に聞く。
「12人目の死亡は確定している。そのため、今この世界に13人目は確実に居る」
「!!」
彼らは驚く。
「それって、そいつに俺達の命がかかってるってことじゃん!」
「その13人目って、誰なんだよ!」
口々に彼女に問う。
「それは、……まだ分からない」
「……え?」
「だから分からないんだ。この話の関係者は、血眼になって13人目を探してる。でも、実際に属性の力を使ってからでないとその人の属性は分からないんだ。だから僕もそれを待って……」
彼女の言葉が途切れる。
「どうした?」
瞬間、ザブーン、というとてつもない音と共に、大きな物体が現れた。
「またか……くそっ、この大きさと今の僕達の力ではこいつは相手にならない! 逃げるぞ!」
「了解!!!!」