ローリー、サム、そしてジャックは、この世界の出口を探していた。
この国に迷い込んだ人々を、元の世界・地球に帰すためである。
しかし、それはなかなか見つからなかった。
「出口なんて、どこにもないじゃないか」
「空にあるとか?」
「それはないよ、ジャック。仮に空にあったとしても、魔法使い以外は空を飛べないから出られない」
「そっか……」
こうして3人は悩んでいた。
すると、ローリーの肩を誰かが叩いた。
「誰だ!」
条件反射で、ローリーが振り返り、銃を相手に向ける。
しかし、そこに居たのは、優しい顔をしたお年寄りだった。
「え……?」
ローリーは銃を降ろした。
そして、お年寄りはゆっくりと話した。
「貴方達、旅の者かい?」
「いえ、旅と言うよりも、ここに迷い込んでしまった人達を助けに来た者です」
ローリーが答えた。
「あら、本当? 私達を助けに来たのね?」
「ええ、そうです。しかし、この世界の出口が見つからなくて、困っているんです」
今度はサムが言った。
「出口なら、もう見つかっていますよ。みなさんも、もう集まっていますよ」
「えっ!!!」
3人は驚いた。
今まで探していた出口が、あっさりと見つかったからである。
「それはどこに?」
ジャックが聞いた。
「ついて来れば、分かりますよ」
「あ、はい!!!」
3人は、お年寄りについていくことにした。
お年寄りの名は、サリーといった。
壷の国には、一週間程前に迷い込んでしまったという。
彼女について歩いていくと、そこには、大きな穴の開いた岩があった。
「ほら、着いたわよ」
彼女は、それの前で立ち止まる。
「……これって、洞窟?」
ローリーが恐る恐る尋ねた。
「ええ、そうよ。この奥に出口があるみたいやけど、開かなくてね。手伝ってくれるとありがたいんやけど」
3人は顔を見合わせ、頷いた。
「もちろん、協力します」
洞窟に入ってしばらく進むと、人々の声が聞こえ始めた。
サリーの言う通り、迷い込んだ人々は皆ここに居るようだ。
ちらほらと、明かりや人影も見える。
「……いつになったら、元の世界に戻れるのか?」
「外に行ったサリーさんも戻ってこないし、心配だなあ」
その様子を見聞きしたサリーは、歩くスピードを少し速めた。
「少し、急ぎましょうかね」
「はい」
3人も、歩くスピードを速めた。
「皆さん、お待たせしましたよ」
人々が集まっている所に着き、サリーは言った。
すると、彼らは歓声を上げた。
「サリーさん、無事で良かったです!」
「時間になっても戻って来ないので、心配しましたよ」
そう言っている中で、一人の少女が手を挙げて言った。
「サリーさん、貴方の後ろに居るのは誰ですか?」
その一声で、人々の騒めきは消えた。
彼らの目線が、彼女と後ろに居た3人に集まる。
「おい、俺達、注目されてるぞ」
「当たり前だろ。あいつ等にとっては、俺達は救世主だからな」
「そうでしょうね。前に出て挨拶してきたらどうです?俺は助けられる側なので、ここで待っています」
「そうだな。サム、行くぞ」
「ああ」
ローリーとサムは、サリーの前に出た。
「俺達は、ここにいる君達を助けに来た。それ以外の何事でもない」
ローリーが言うと、人々は驚きの声を上げた。
それが収まらないうちに、サムが言った。
「ここに開かない出口があると聞いてやってきた。どうにかしてその出口を開け、君達を元の世界へ帰そう」
人々の驚きの声は、さらに大きくなった。
「ありがとう! 本当に、ありがとう!!」
「神は、やはり我々を見捨てたりはしなかった!」
そして2人は、サリーに言った。
「出口の場所、教えてくれませんか?」
サリーは答えた。
「この洞窟の一番奥にありますよ」
「分かりました」
2人は人々を掻き分けて、指示通り、洞窟の一番奥に行った。
そこには、大きな岩があり、こう書かれていた。
”この岩の向こうに、未来はある”
どうやらこの岩を壊さないと、元の世界には戻れないらしい。
だが人々の力ではこれを壊せないので、ここに居座ってた訳だ。
でも、魔法使いの手に掛かれば、このような岩も、
「余裕で壊せるな」
2人同時にそう言うと、ローリーは銃を岩に何発か打ち込んだ。
その衝撃で脆くなった岩に、サムが呪文を唱えた。
「人々の未来を邪魔する岩よ、今すぐ退け!!」
すると岩は壊れ、紫色の渦と、短いメッセージが表れた。
”よくここまで来た。
戻りたい場所の名前を叫びながらこの渦に飛び込むと、そこに戻れるだろう”
その瞬間、洞窟が歓声に包まれ、次々に人々が戻りたい場所を叫びながら、渦の中に飛び込んでいった。
「ロンドンへ!」
「ベルリンに帰るぞ!」
「いくぞ! ニューヨーク!」
そしてあっという間に、洞窟はローリーとサムの2人だけになってしまった。
サリーやジャックも、既にいなくなっていた。
「さて、こっちは一段落だな」
「なら、ボス達を手伝いに行こうか……」
その時、グラグラ、と、地面が揺れた。
「……地震だ!!」
「逃げるぞ!!」
2人は、勢いよく駆け出した。