(side:Youmin)
僕は、ベランダに立って、遠くをぼんやり眺めていた。
「何、ぼーっとしてんの?」
気がつくと、右隣に弟がいた。
「別に。……なんでもないさ」
本心を悟られないように、自然な答えを返す。
「絶対何かあるって。姉ちゃんってここに居る時、いつも何か考え事してるじゃん」
うーん、こいつには嘘は通用しないな。
ならば本当のことを言うまでだ。
「……何を今更、って思うかもしれないけど、時々、考えるんだ」
そこで僕は一旦、言葉を切った。
「あの日、タイムトラベルして良かったのかな、って」
「…………」
「確かに、あの時タイムトラベルしていなかったら、違う未来が待っていたかもしれない。……おそらく僕らが望んでいない未来だけど。
でも僕は、タイムトラベルを実行した。
本当に、それで良かったのかな、って」
過去のことを考えるなんて馬鹿みたいだな、と一言付けたし、僕は自嘲的な笑いを浮かべた。
「……馬鹿みたいなことじゃ、ないよ」
「……え?」
弟の突然の言葉に、僕は困惑する。
「僕もあの時、タイムトラベルには反対した。でも、姉ちゃんは実行した。だけど、後悔はしてない。だって、」
弟は僕をみて、言った。
「自分が正しいと思った道が、一番正しい道だから」
009:道 (side:Youmin)
(そっか、自分がいいと思えば、それでいいんだ)
お題配布元
追憶の苑