※暗殺表現あり
その日は快晴だった。
今日は何も予定が入っていないが、午前10時頃(イタリア時間)にボスに呼ばれた。
どうやら、急な暗殺依頼のようだ。
「本当はこの手の方法が得意な人が居るんだけど、あいにく今日は私用でいないんだ。頼めるか? リッキー」
「ああ、喜んで引き受けよう」
今回のターゲットは、とある敵対マフィアの幹部。
最近、目的も無く人々を殺しているらしい。
その相手がマフィア内ならまだしも、表の世界に住む一般の人々も巻き込んでいるという。
これは表の世界から見ても、裏社会から見ても、明らかに常軌を逸する行為だ。
しかも相手ファミリーが、それを容認しているのだから尚更だ。
また、最初にも言ったが、そのファミリーは俺の所属するミルトリーファミリーと敵対している。
ならば殺してしまっても構わないのでは、ということで、今回の依頼に至る。
ボスによると、その幹部が毎週土曜日の正午に、街中の喫茶店で一人でランチを食べているという。
今日はまさにその日だった。
当然、俺は引き受けた。
でも暗殺方法が、いつも俺がやっているのとは違うので、少し緊張するが。
◆
正午。
俺はボスからもらった、ターゲットの顔写真と、暗殺に使う道具、そしてその他必要な物をもって、彼が居るという街中の喫茶店へ向かった。
喫茶店に入ると、すぐに顔写真とよく似た人物を見つけた。
確かに、一人でランチを食べていた。
そうしていると、俺に気づいた店員が、ようやく声を掛けてきた。
「いらっしゃいませ。今は生憎満席なので、少し待っていただけますか?」
「いや、急いでいるんだ。相席は出来ないのか?」
「出来ますけど……どこか空いてますかね……」
「一番奥、空いてないか?」
「あ、本当ですね。では、そこにお座りください」
「ああ」
一番奥の席は、彼が座っている席の向かいだった。
◆
「すいません、相席してよろしいでしょうか?」
俺は、彼に声をかけた。
「ああ、構わないよ。今は満席だからね」
そういって、彼はあっさり承諾してくれた。
相手が自分を狙っていることに気づいていないのだろう。
俺は席に座り、適当にメニューを選んでオーダーした。
しばらくして、料理が運ばれてきた。
それを食べながら、俺はタイミングを計っていた。
何故かというと、今回の方法は「毒物暗殺」だから。
毒を飲み物や食べ物に混入させて、暗殺する方法だ。
だが、混入する瞬間がばれてしまうと、その時点で計画失敗だ。
だから、そのタイミングを上手く計らなければならない、ということだ。
幸運にも、そのタイミングはあっさり訪れた。
彼が食事を終え、新聞を読み始めたからである。
周りの客も、それぞれ食事や会話などに夢中で、俺が毒の入った容器を手に隠し持っていることに気づいていない。
俺は容器のキャップを開けた。
毒は液体で、一滴で致死量に達する猛毒だ。
彼の視線が新聞の真ん中に行った瞬間、俺はサッと、だが慎重に毒を一滴、彼のコーヒーに入れた。
その数秒後、彼はそのコーヒーを飲んだ。
だが、彼には特にこれ、といった変化はない。
それもそのはず、この毒は体に入ってから10分後ぐらいに効く毒だからだ。
俺は、彼がコーヒーを飲んだ後、料理の最後の一口を食べ、お金を払って、店を後にした。
彼はまだ、新聞を読んでいた。
ふと見上げた空は、蒼かった。
017:蒼
(その後彼がどうなったかは、言うまでもない)
意味が分からなかったらごめんなさい。