事件から、一週間後の夜。
一人の男が、警察で取調べを受けていた。
「何度言ったら気が済むんだ! 犯人はお前だろ!」
「こっちこそ何度言ったら分かるんですか。僕は違います。これはえん罪です」
取調べを受けていたのは、堀 隆司(ほり たかし)、28歳。
東京で働く一般的なサラリーマンだ。
目撃者の証言が、そのまま当てはまっており、その他様々な証拠をもって逮捕された。
しかも事件発生当時は1人で、アリバイがない。
「……今日はもう遅い。留置所に連れて行け」
「了解」
取調べに当たった男の後ろにいた人が、隆司を部屋から連れ出した。
◆
同刻、某国某所。
一人の青年が、パソコンでネットサーフィンをしていた。
「全く、最近はどこの国でも事件が多いな……ん?」
青年は、気になるニュースの見出しを見つけた。
『政治家一家殺害事件、犯人逮捕-日本』
政治家一家。
先日、彼らのリーダーがとある人物からの依頼で、暗殺してきた一家だ。
「まさか、な」
彼は呟いて、その見出しをクリックした。
そこに現れたのは、事の内容と、容疑者の顔写真だった。
「堀 隆司、28歳……って、こいつ……!」
彼は急に立ち上がり、走って1つの部屋に向かった。
ノックもせず、その部屋に入る。
「リリー、大変だ!」
「どうしたんだ、ペリドット。用があるなら手短にしてくれ」
部屋に居たのは、この集団のリーダー、リリー。
彼女は昼食を終え、読書をしていたところだった。
ペリドットと呼ばれた青年は答える。
「この前、お前が日本の政治家の家族を殺っただろ?」
「ああ。……まさか犯人が捕まってしまったとか? 結構派手にやってしまったし」
「まあ、そんなところだ。それだけならいいんだけど」
「……何か問題でもあったのか?」
彼女は不安な表情になる。
「うん。その犯人が『堀 隆司』という名前なんだ。聞き覚え、あるよな?」
「!! あるに決まってんだろ、それ、『ダンデ』の偽名だ」
「やっぱりな。で、どうするんだ」
青年は聞く。
「今すぐお前が日本に行け。僕が行ってもいいが、あいつの『力』の封印を解けるのはお前だけだ」
彼女は早口で言う。
「あいつをここに連れて来い、ってことか?」
「今はそれしか打つ手が無い。サツの手があいつに入った以上、『力』やその他の秘密がばれるのは時間の問題だ。それに、」
彼女は一呼吸置いて、言った。
「あいつの安全な居場所は、ここ以外に残されていない」
やや間があって、青年は言う。
「……分かった、行ってくる。でも俺、瞬間移動は使えないからちょっと時間がかかるけど」
「それは別にいいんだ。とにかくあいつをここに連れて来い。それが一番だ」
「……Ja.」
青年は部屋を出て自分の部屋へ行き、パソコンの電源を切り、準備をして外へ出た。
「あいつ、元気にしてるかな」
そう言うと、黒い車を召喚し、それに乗り込んだ。
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